嘘つく者 悪隠す者 共に地獄に 向かう者

ダンマパダ 306

嘘をつく者は地獄に近づく
悪行為をしたのに私はしてないと言う者
両者は死後同じ立場
来世は悪業の人になる


○この詩から学ぶこと

 ダンマパダは423の詩の集まりです。それぞれの詩は一つあるいは二つで独立していて、それぞれ真理が語られています。と同時に、いくつかの詩がまとめられ、26章に分類されています。今日のダンマパダ306から319までは「第22章地獄」です。ですから、今日からしばらくは地獄に関する詩が続きます。

 この詩の一行目は「嘘をつく者は地獄に近づく」と訳しました。「近づく」はパーリ語の「ウペーティ」の訳ですが、「ウペーティ」には「近づく」と「到る」と訳がありますから、「嘘をつく者は地獄に到る」とも訳せます。しかし、一度も嘘をつかなっかった人間はほとんどいないでしょうから、そうすると、ほとんどの人間が地獄に行くことになりますので、それは少しおかしいかなと考えました。でも、嘘をつくことは悪いことですし、日本のことわざにあるように「嘘は泥棒の始まり」ですから、嘘は嘘だけにとどまらずに、多くの悪行為の基になるのです。その意味で、地獄に近づきということは非常に納得のいくことです。

 少し余談ですけれども、たとえば、「酒を飲まない」と誓って、酒を飲んだ場合は嘘をついたことになるかという問題の答えは、戒を守れなかったのであって、嘘をついたことにならない。また、テストの答えを間違えた場合も嘘をついたことにならない。その場合は間違えたのです。

 本題にもどります。この詩の二行目「悪行為をしながら私はしてませんと言う者」は明らかに嘘をついているのです。ですから、「嘘をつく者」と同じではないかと考えませんか? しかし、釈尊は区別して述べています。なぜでしょうか?二行目の場合は罪は重いのです。一度悪行為をして罪を作りながら、嘘をついてまた罪を作っています。つまりこの場合は二度罪を作っていることになるのです。釈尊はどんな行為もいい加減に見るのではなく厳密に判断しているのです。

 最後になりますが、なぜ嘘が罪になるのでしょうか?それは自分と相手を不幸にするからです。嘘は自分が真実であると思っていることに反することを言うことになるので、心に混乱を起こします。心の混乱は不幸の原因になるのです。一つの嘘は次の嘘を引き起こします。心はますます混乱します。嘘は悪意が基にあります。悪意は心を暗くします。暗い心も不幸の原因なのです。

 嘘は相手の尊厳を犯します。誰でも嘘を言われたくなにのです。それに反して嘘を言えば相手の心を傷つけることになるのです。相手の心を傷つける者は自分の尊厳を守る権利が失われるのです。これは宇宙の法則です。自分も相手も不幸にする嘘がよいわけはないのです。

 さらにもう一言。善意からの嘘は悪くなのではないか、嘘も方便と言う言葉もあるのではないかと言う意見に対しての私の忠告は、自分で善意と思っていても自分の心が本当に善意かどうか解からない悟ってない人々は、嘘をつかない方が安全だということです。判断ミスをすると地獄に近づくことになるのですからです。


~生きとし生けるものが幸せでありますように~
~生きとし生けるものの悩み苦しみがなくなりますように~
~生きとし生けるものの願いごとが叶えられますように~
~生きとし生けるものに悟りの光が現れますように~ 

この記事へのコメント

ホーシノヒトリゴト
2008年09月24日 08:14
ワンギーサさん 今朝もありがとうございます。さて、今日の偈306に関する嘘をつくということですが、私は仏陀の教えを知り慈悲の瞑想とヴィパッサナー瞑想を続けていたら嘘をつけなくことが嫌になりました。この嘘をつかないということは八正道の正語に当たるのでしょうか?
2008年09月24日 17:05
ワンギーサさん、今日は。例えば、会社が違法を知りながら犯罪行為に手を染め、それに対してその社長が「知りません。何のことだかさっぱり分かりません」などと言った場合は、悪行為を隠すために嘘をついているのだと思います。しかし、友人の秘め事を敢えて言わない場合に「さあね。私はよく知らない」と誰かに答えることは、やはり嘘つきで悪いことのでしょうか?
ワンギーサ
2008年09月24日 19:22
新様コメントありがとうございます。
嘘をつかないようにするためには智慧が必要です。嘘をつかない言い方することは智慧の養成になります。私でしたら、上の場合は、「それは人のことですからね」などと言います。
身の丈修行者
2015年02月06日 11:58
ワンギーサ長老の分かりやすい本文、そして皆様・長老のコメントを興味深く拝見致しました。
高齢者福祉の仕事をしています。高齢者特有の状況から、事実と異なる言葉を返事してしまう事がある程度日常的にあります。
ですがこちらで学び、明らかな嘘は良くないと考えるようになっています。
例えば「(寂しいので家の人に)来てほしいと電話して」と毎時の様に訴える方に対し、家族の都合もありますしそれをそのまま実行する訳には参りません。
ですので安易に嘘を返事してしまう時がありますが、それは悪行為になってしまうように感じます。
そんな状況でも嘘にならないような対応を考える姿勢を持ちたいと思います。

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