生前と天界地獄を見て生滅尽 証智完成彼はバラモン

ダンマパダ 423

前世を知り
天界と地獄を見て
生の滅尽に達して
証智を完成した聖者
成すべきことを成し遂げた
彼を私はバラモンと呼ぶ



○この詩から学ぶこと

 「前世を知り」とは宿住智と言い、自分と他人の前世のことを知ることのできる智慧のことです。
 「天界と地獄を見て」とは天眼智のことであり、天人のように肉眼で見えない遠い所や微小なものをみることができる智慧です。
 「生の滅尽に達して」は漏尽智のことであり、あらゆる煩悩を滅し尽くす智慧です。
 以上三つを三明と言い、多くの阿羅漢はこの三明を持っていましたが、漏尽智だけあれば阿羅漢になれるのです。

 しかし、仏陀はさらに五つの智慧を完成させ、八明と言われる智慧を完成しました。それを「証智を完成した聖者」という言葉で表現されています。残る五つの智慧とは次の通りです。
 観智: 名色の無常、苦、無我をはっきり見ることができる智慧
 意所成神変智: 自分の思い通りにできる智慧
 紳変智: 一身、多身などを化作すること、空に飛び上がる、地下のもぐることのできる智慧
 天耳智: 天人の耳のように遠くも声や小さな声を聞ける智慧
 他心智: 他人の心を読める智慧

 「成すべきことを成し遂げた」とは十五行と言われる行を成し遂げたということです。十五行とは次の通りです。
①戒律儀: 戒律を守ること
②根律儀: 貪欲、怒り、無知などの煩悩が起こらないように、眼、耳、鼻、舌、身、意の六根を守ること。
③食物において適量を知ること。
④不眠の努力: 眠らないで努力すること。
⑤信: 仏法僧の三宝および因果法則を信じること
⑥慚: 悪事をすることを内心に恥じること 
⑦愧: 悪事をすることを外部に恐れること
⑧博識: 知識が広い分野に及んでいること
⑨精進: 励み努めること。ひたすら善を行い、悪を断つこと。
⑩念: 気づきを忘れないこと。
⑪慧: 智慧で理解すること。
⑫初禅: 欲を離れ、不善の法を離れ、尋伺があり、障害の離より起こる喜楽のある境地
⑬第二禅:尋伺のない、定より起こる喜楽のある境地
⑭第三禅: 喜を離れ、捨のあり、念があり、正知があって、身によって楽を感受する境地
⑮第四禅: 楽を離れ、苦を離れるがゆえに、喜と憂とが滅したために、苦楽がなく、捨によって念が浄まっている境地
(初禅から第四禅は、アビダルマの定義ではなく経典による定義です。)

 八明と十五行の完成者を明行具足者といいます。そして仏陀は明行具足者なのです。

 以上で423番の説明は終わりますが、この詩がダンマパダの最後の詩であります。最後は仏陀自身について、明行具足者で大バラモンであることが述べられています。

○生前と天界地獄を見て生滅尽 証智完成彼はバラモン



○このブログの今後の予定

 2008年12月31日本日、ダンマパダ423番が終わることになりました。皆様の御愛読および御励ましに深く感謝申し上げます。このブログは今年6月21日にダンマパダ173番から初めましたので、1番から172番の詩については、翻訳および解説をしておりません。ですから、来年1月1日から、引き続き1番から172番までは翻訳と解説を行う予定です。御支援よろしくお願いいたします。

 
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この記事へのコメント

ツヨシ
2008年12月31日 05:42
ワンギーサさん、おはようございます。
自分の心を知ると、他人の心を知るようになりますか?
2008年12月31日 06:15
ワンギーサさん、ツヨシさん、おはようございます。十五行は八正道と似て非なるものでしょうか?十五行の修行の由来はどうなっているのでしょうか?有難うございました。
ワンギーサ
2008年12月31日 07:27
ツヨシさん、おはようございます。自分の心を観察して、他人の心を観察すると分かるようになるとのことです。
ワンギーサ
2008年12月31日 07:35
新さん、おはようございます。十五行は私たちが毎日唱えている仏陀の九徳の一つ明行具足者の内容です。注釈書にあります。仏陀は未開の悟りへの道を歩んだのですが、私たちは仏陀が示された八正道を実践すればよいのです。
2008年12月31日 08:00
ワンギーサさん、ご指導有難うございました。今年はいろいろお世話になりました。来年も宜しくお願いいたします。有難うございました。
身の丈修行者
2015年03月19日 17:45
仏陀の偉大さが分かるように思います。ご縁を頂戴出来て、そして学ぶ機会を頂けて至福に思います。
身の丈ですが精進して参ります。

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