比丘たちは利得を捨てて涅槃取り 尊敬望まず離れて学ぶ

ダンマパダ 75

一つは利得に導く道
一つは涅槃に至る道
このように正しく知って
仏陀の弟子の比丘は
尊敬されることを喜ばず
離れることを学び実践するのです


○この詩から学ぶこと

 スマナサーラ長老の著書「的中する生き方」の「まえがき」に次のような文章があります。
「『道徳』とは、実は『選択』の問題です。学校を選ぶ、友達を選ぶ、仕事を選ぶ、結婚相手を選ぶ・・・・・、人生にはいろいろな『選択』の場面があります。」と述べられています。

 今回の詩は、ある比丘の前に二つの道があると書かれています。一つは利得がある道です。もう一つは涅槃に至る道です。

 利得に導く道は、この比丘は村人から尊敬されていて、多くの信者さんがいろいろお布施を持って話に来るのです。そのために、この比丘は修行に集中できませんでした。尊敬されること、お布施を頂くことは、世間的には喜ぶことでしょうが、彼は喜びませんでした。

 もう一つは涅槃に至る道です。村から遠く離れた森に入り、修行することです。そうすると人々と付き合うことは少なく、孤独になるし、森に入ることはいろいろな危険もありますが、修行に集中できます。仏陀の弟子のこの比丘は、尊敬されることを喜ばず、離れることを学び実践するために、涅槃に至る道を「選択」するのです。その結果、数ヶ月後に涅槃に達したと言われています。

 この詩には書かれていませんが、愚かな比丘は、涅槃に至る道ではなく、利得に導く道を選択し、輪廻の苦しみから解脱して涅槃に達するために出家した筈であったのに、修行は完成しないのです。愚か者にならないためには、目標や目的に矛盾しない道を選択すべきなのです。

 はじめに引用しましたように、人生にはいろいろな「選択」の場面があります。この選択に関して大切なことは選択を誤らないことです。判断を誤ると不幸になます。判断を的中するとは幸福になることです。しかし、悟ってない私たちの判断は間違いやすいのです。ですから「的中する生き方」では、判断を誤らないためには道徳を守ること、悪行為をしないで善行為をするようにと述べています。

 もう一つ判断を誤らない方法は、スマナサーラ長老がよく言われる裏技があります。それは慈悲の心で対応することです。自分が幸せになるように、相手が幸せになるように、皆が幸せになるように、この三つを合わせて考えて、実行することです。そうすれば、たいていのことは上手くいくものです。

 さらに、「選択」に関して考えて欲しいことがあります。「選択」は人生の岐路で、たまにあることではなく、瞬間、瞬間あるのだということです。ダンマパダの「第2不放逸の章」でたびたび述べたように、私たちの心は瞬間、瞬間、生まれては消えています。その心が欲や怒りを選択しないように注意しておく必要があるのです。それらで心を汚すと不幸な道を歩むことになるからです。しかし、心が汚れないように注意すれば、幸せな人生を歩むことができ、それは涅槃への道なのです。

○比丘たちは利得を捨てて涅槃取り 尊敬望まず離れて学ぶ

~私は幸せでありますように~
~私の親しい人々が幸せでありますように~
~生きとし生けるものが幸せでありますように~

この記事へのコメント

2009年02月21日 05:32
ワンギーサさん、おはようございます。道徳とは誰もが幸福に至るための矛盾しない道である。と言えましょうか。……「『道徳』とは、実は『選択』の問題です。」。(この切口は画期的ですね)言い換えると、「判断」を誤ると不幸になります。つまり、道徳を破ると必ず不幸になるということだと思います。幸福になりたければ誰でも「善行為」をすればよいだけだと思われます。「選択」は人生のあらゆる場面にあるのだから、悪行為の積み重ねで不幸にならないように、常に「道徳」を守ることが大切だと改めて考えさせられました。又、自分、相手、そして皆が幸せであるためには「智慧」が必要な気がします。有難うございました。
2009年02月21日 06:26
 おはようございます。

「アルバイトで、今日、明日できるの、ありませんか。」
「今は、ここには、ないですね。掲示板に貼っているので、全てです。」
 掲示板に、行きます。
高橋優太
2009年02月21日 08:47
ワンギーサ先生、新さん、ツヨシさん、おはようございます。五戒のように、どんな場面でも悪行為ならわかりやすいです。でも、ほかの場面だとケースバイケースで頭を働かせなければ、失敗してしまうこともあります。
そんなとき、慈悲の心で対応するようにしてみます。ありがとうございました。
高橋優太
2009年02月21日 11:42
ワンギーサ先生、こんにちは。質問なんですが、回向の仕方はどうすれば良いのでしょうか?やり方がよくわからないので教えてください。
ワンギーサ
2009年02月21日 22:23
高橋優太さん。日本テーラワーダ仏教協会の「日常読誦経典」95ページの「回向も文」を唱えてください。
高橋優太
2009年02月22日 00:34
ワンギーサ先生、わかりました。ご指導ありがとうございました。
身の丈修行者
2015年04月05日 08:37
「選択」は自分がどう生きるかに繋がるなと感じました。
ワンギーサ長老の分かり易い本文・解説
・道徳を守る、悪行為をしないで善行為をする
・慈悲の心で対応する
・瞬間、瞬間・・の生まれては消え・・心が欲や怒りを選択しないように注意しておく
・心が汚れないように注意
そのように生きて参りたいです。

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