56.道徳を守る人の香りは天まで届く

ダンマパダ 第4章 花 56

このタガラや白檀の
香りはわずかだが
道徳を守る人の香りは
神々まで届き、最高だ



〇超訳の試み

花の香りはわずかだが
道徳を守る人の香りは
どんな人の心にも
神々にも届き、最高だ


〇子供のためのダンマパダ

犬や猫も花や草も
神さまたちも
心のやさしい子供を
知ってるよ





〇一口メモ

 今日は微妙なことを書いてみようと思います。花々の香りが人間に認識されるのは香りの分子が鼻の奥にある嗅上皮の粘液に溶けて、それを嗅細胞が感じるからです。ですから、香りの分子が香りの情報を運んでいます。ところが、道徳を守る人の香りの情報は何が運んでいるのでしょうか。物質ではありません。しかし、たしかに道徳を守る人の情報は他の人に伝わります。これは頭で考えて分かるものでもないでしょう。物質でもない、頭で考えても分からないが、(頭で考えようとすると分からない)、確かに認識できるものがあるようです。まさに、道徳の香りとはそのようなものなのです。しかし、それは神秘的なものではなく、私たちはいつも感じているものなのです。

 道徳の香りについて、私たちは知っていますが、それがどれだけ大きく、どれだけ力があるかなどについてはほとんど知りません。釈尊はそれをこの詩で教えています。「花々の香りはわずかだが、道徳を守る人の香りは神々まで届き」と仰っています。現在、宇宙望遠鏡を使っても物質空間の宇宙の中には神々の世界を発見できそうもありません。神々の世界は異次元の世界なのでしょう。そのような神々の世界に届くとは、道徳の香りを運ぶ情報は想像もできないほどの大きさと力を持っていると考えられるのです。大きさや力ばかりではなく、「最高だ」と述べられていることは、その質、すなわち、輝きや美しさも最高だと述べておられるのでしょう。

 道徳を守る人の香りといえば、道徳を守ったという行為の結果(業)とも考えられます。この業については前回の「この詩から学ぶこと」に書きましたので、御参照下さい。この業は、死後異次元の神々の世界に生まれ変わっても持っていけるものだと言われています。もちろん信じなくてもよいことでもあります。

 最後に、道徳の香りは、考えても分からないように、考えないで、よく観察すると真理が分かると釈尊は教えています。考えないで、よく観察することがヴィパッサナー瞑想です。この瞑想に精進することをお勧めます。


〇前回の「この詩から学ぶこと」
花の香は山を越えぬが道徳の香りは越えて神にも香る
http://76263383.at.webry.info/200902/article_6.html


〇パーリ(語)原文

56.
アッパマットー アヤン ガンドー
Appamatto    ayaṃ   gandho,
少量       この   香り
ヤーヤン タガラチャンダニー
yāyaṃ    tagaracandanī;
所の この タガラ 白檀
ヨー チャ  スィーラワタン ガンドー
Yo   ca    sīlavataṃ    gandho,
所の しかし 具戒者     香り     
ワーティ デーワース ウッタモー
vāti     devesu    uttamo.
香る    天まで     最高

〇今回の詩のパーリ語について、日本テーラワーダ仏教協会のホームページに「ダンマパダ輪読会 文法事項のまとめ( 記録文責;柴田尚武 先生 )」がありますので是非御参照下さい。
http://www.j-theravada.net/sakhi/Dhp54-63.pdf


~生きとし生けるものが幸せでありますように~
~生きとし生けるものの悩み苦しみがなくなりますように~
~生きとし生けるものの願いごとが叶えられますように~
~生きとし生けるものに悟りの光が現れますように~



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この記事へのコメント

ワタナベ
2009年12月11日 04:17
確かに「戒の香りが最上」かもしれないと思いました。
五戒、特に八戒を守っている方の「人間的迫力」は凄いと感じています。エネルギーを無駄に分散せず、「善い事」に心を集中していらっしゃるようなので、その方が為す仕事量、勉強量は常人を遥かに超えてしまうように思います。
2009年12月11日 04:36
ワンギーサさん、おはようございます。行為の善悪の周囲に与える影響、特に大人が子供に与える影響というものを考えさせられました。私が小学生の頃、弟と二人で近くのラーメン屋さんに行きました。すると、小さなゴキブリが近付いてきました。私は殺そうとしましたが、怖いので店員さんに「何とかしてくれ」と言いました。ところがその店員さんは「どうしたの?別にカワイイじゃない」と言ってそのままでした。実は私が「不殺生戒」を初めて知った時、この時の記憶が鮮明によみがえり、やる気を支えてくれたのです。というか、以後この出来事は私の「心」に深く刻みこまれていて、「生き物を殺してもいいのだろうか?」という自問の土台になりました。生き物を殺してしまった時、必ず葛藤が起こるのです。この経験だけではデータ不足でしょうが、大人が真剣に道徳を守ることは、子供に有無を言わせない説得力があると思います。子供たちは、もちろん大人の悪影響も受けますが、「善行為」のもたらすパワーは何千倍、何万倍も強いのだと思って、道徳的に生きたいと思います。有難うございました。
PUN
2009年12月11日 20:18
こんばんは。オバマさんのノーベル平和賞受賞演説、アメリカの戦争の正当性を言っていました。仏教には不殺生戒があり、殺生は正当化できない。仏教から見たらアメリカの行動は悪なのでしょうか。少し気になっているところです。
もくぎょ
2009年12月11日 21:47
ワンギーサ様今晩は。皆様はじめましてのもくぎょです。毎日拝読しています。
子供のためのダンマパダは絵文字もあり大変親しみやすいです。絵本になったら良いと思います。

もくぎょは勝手に「SFダンマパダ、自我編」を作ってみました。(^-^;;
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
突然渋谷に現れた巨大な黒い人影。

??「俺様は自我~マン、この町をこなごなにしてくれる」バリバリッ
もく「待て~っそんなことはこの木魚が許さん。キ~ック、パ~ンチ、とどめは木魚ビ~ム!!どっ!?どうした。ぜんぜん攻撃が効かない」

??「ハッハッハッ俺様の本当の名前を教えてやろう。わたしは・・・木魚だ!!」
もく「なっなんだと!??」

自分を正義の味方と勘違いし、悪をこらしめようとしていた木魚。しかしそれは形を変えた自分自身の姿だったのだ。そのとき何処からか老師の声が聞こえてくる。

老 「・・・木魚さん、あなたにはまだまだ勉強が必要です。今日から『困ったときはダンマパダ』を読みなさい」
もく「あ、あなた様は・・・」

老 「わ・しは・・ワン・ー・・サ・・で・す・・・」

そして今日も「困ったときはダンマパダ」を読む木魚なのであった。
ワンギーサ
2009年12月11日 21:59
もくぎょさん、コメントありがとうございます。
最近はひとつひとのコメントにコメントしておりませんが、
今日は笑ってしまいました。
これからも「SFダンマパダ」をどんどん作って、皆様を楽しませて下さい。
もくぎょ
2009年12月12日 18:02
>これからも「SFダンマパダ」をどんどん作って、皆様を楽しませて下さい。

ハイ。ありがとうございます。皆さま真剣に仏教を語られる中、内容がそぐわないのではと心配してました。

ただSFダンマパダ、早くもネタ切れです(^-^;;
毎日ブログを更新されるワンギーサ様の知識や、智慧の深さには頭が下がる思いです。

また出来たら投稿します。
まさこ
2010年08月17日 15:36

私はまず、汚れを落として、臭いにおいをださないように気をつけなければなりません。
身の丈修行者
2015年07月22日 08:02
本文の「道徳の香りは、考えても分からないように、考えないで、よく観察すると真理が分かる・・」心に響きます。違う内容になってしまいますが、分かろうとして色々な知識を得る事に走る・・のも、冥想実践をしないなら智慧にはならない印象を感じます。ヴィパッサナー冥想を精進したいです。
たか坊
2016年07月16日 00:29
今回も
明るく楽しく学べたコトを嬉しく思います♪

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