145.善者は自己を調御する

ダンマパダ 第10 悪の章 145

ナモー タッサ バガワトー アラハトー サンマーサンブダッサ
Namo  tassa   bhagavato  arahato   sammāsambuddhassa
阿羅漢であり正自覚者であり福運に満ちた世尊に敬礼致します

灌漑人は水を導き
矢作り人は矢を矯める
木工人は木材を矯める
善者は自己を調御する


(片山一良先生 訳)


○超訳の試み

水道屋は水を導く
矢を作る人は矢を曲げる
大工は木を曲げる
善行者は自己をととのえる


○子供のためのダンマパダ

あのおじちゃんたちは水田に水を導いているんですよ
このおじちゃんたちは矢を作っているんですよ
このおじちゃんたちは家具職人ですよ
尊師、私は何をやればいいのですか
出家した人は心を育てるものなんですよ





○一口メモ

 今回は、下にアドレスを記載したスマナサーラ長老の説法の中心部分を以下に引用いたします。
この話は大人はもちろんですが、そのまま子供にも読んで聞かせれば大変ためになります。

 (引用はじめ)

 ある日、サーリプッタ 尊者が托鉢に出かけるとき、この幼い沙弥も一緒に連れていきました。沙弥も喜んでお供しました。托鉢に向かう道の途中、水田のそばを通りかかりました。初 めて見る風景に、沙弥は驚きました。そして「このおじいちゃんたち、何やってるの?」とサーリプッタ尊者に聞きました。
 尊者は「このおじいちゃんたちは水田に水を導いているんですよ。水というのは自分勝手で、下へ下へと流れていきます。ですのでこのおじいちゃんた ちはいろいろと工夫して、下へ流れる水を水田の方へ流れるようにしているんです。それで、豊かな稲を育てて、みんながおいしいごはんを食べられるようにな るのです」と答えました。沙弥は「へえ…」と言いながらも考え込みました。
 さらに歩くと、矢を作っている作業場を通りがかりました。みんなが忙しそうに自分の仕事に取り組む、活気にあふれる光景を見て沙弥は、「このおじちゃんたちは何やってるの?」とまたたずねました。
 尊者は「このおじちゃんたちは、矢を作っているんですよ。矢づくりは、たいへんな仕事です。矢は細くて堅くなければいけませんし、歪みなくまっす ぐに作らなくてはなりません。また、矢の先と羽の部分の重さも厳密に調整しなくてはなりません。このおじちゃんたちは何年間も修業して、たいへん真剣に矢 づくりに励んでいます。そして、さまざまな形にねじ曲がって何の役にも立たない木の枝を切って来て、暖めたり、引っ張ったり、いろいろな工程を重ねて、と ても役に立つ矢にしているんですよ」と矢づくりの大変さが理解できるよう、丁寧にわかりやすく話しました。
 沙弥はまた「へえ…」と考え込みました。
 またさらに進むと、家具職人の集落を通りました。沙弥がまた驚きました。「このおじちゃんたちは何をやってるの? 大変そうだなあ」
 尊者が答えました。「このおじちゃんたちは家具職人ですよ。ここに丸太があるでしょう。これをノコギリで切って、板にしたり角材にしたりします。 それから適切な大きさに切って、カンナで削って、ノミで形を整えて、いろいろなおもしろい形の椅子や机などを作ります。椅子の足や背もたれを見てごらんな さい。あの丸太がここまで変わるんですよ。これはライオンの足の形でしょう。こちらはライオンの顔でしょう。これは花の形ですしこれは虎の形ですね。おも しろいでしょう? ちょっと工夫すると、丸太もこのように人の役に立つようになります。放っておいたら丸太は丸太で何の役にも立ちません。君がさっき見た 水もそうでしょう。放っておけば海に流れ出すだけでしょう? おいしいお米にはなりませんね。君も出家して遊ぶばかりだったら、だめだなあと思いますけ ど」
 考え込みがちの沙弥は、何もしないで遊んでいる自分のことを、心配してしまいました。そして「尊師、私は何をやればいいのですか」と聞きました。
 
 「そうだね。出家した人というのは、心を育てるものなんですよ。
 この世の中で何より大切なものは心です。
 それを放っておくと、悪い人間になってしまって、犯罪まで起こしてしまう。そのことで厳しい体罰を受けたり、処刑されたり、また死んでからも地獄に堕ちたりします。
 ですから、出家した人は真剣に心を育てなくてはなりません」と尊者が答えました。
 沙弥は「では私も頑張りますから、心の育て方を教えてください」と言いました。
 そこで尊者は沙弥に冥想実践の仕方を教えました。
 実践法を習った沙弥は、「今から寺へ戻って実践してもいいでしょうか」とたずねました。
 尊者は沙弥を寺に帰らせ、一人で托鉢を続けました。
 沙弥は真剣に冥想実践を始めました。
 子供が驚くほど真剣に修行するのを見た他のお坊さんたちは、みんな一切音も立てないように気を配り、彼を一人にしてあげました。
 尊者は托鉢を終えたあと、午前中のうちに沙弥にごはんを食べさせなくてはならないので、急いで戻りました。
 その様子を見たお釈迦さまはサーリプッタ 尊者を引きとめいろいろ話を始めました。
 正午を過ぎましたら出家者は食事をしない決まりです。
 しょっちゅう食べなくてはいけない育ち盛りの子供にとって、一食主義は厳しいものです。
 サーリプッタ 尊者は子供のことが心配でしたが、お釈迦さまにはさからえないので、お釈迦さまの話し相手になって何も言いませんでした。
 その間に、沙弥は冥想実践に成功して悟りを開きました。
 それを知ったお釈迦さまは、突然思い出したようにサーリプッタ 尊者に、「あなた、ごはんを持って帰ったでしょう。それを早くスカーにあげなさい」と言って去りました。
 Sukha沙弥が修行に励んだとき、皆がいろいろと協力したことと、偉大なるお釈迦さまさえお出かけになって、沙弥が悟るまでサーリプッタ尊者を行かせなかったことがあとで話題になりました。
 真剣に実践すれば子供でも一日で悟られるものだなあと、他の修行者の教訓にもなりました。これについてお釈迦さまは、賢者は常に心を育てるために励みましょうとお話しされました。

 (引用終わり)

○スマナサーラ長老のこの詩に関する説法

工夫の達人たち ~心は放っておけば堕落する~
http://www.j-theravada.net/howa/howa62.html


○前回の「この詩から学ぶこと」

職人は材料ととのえ仕事する善行の人は自己をととのえる
http://76263383.at.webry.info/200904/article_10.html


○パーリ語原文

145.
ウダカンヒ  ナヤンティ ネッティカー
Udakañhi   nayanti    nettikā,
水を まさに 導く     治水者は
ウサカーラー ナマヤンティ テージャナン
usukārā      namayanti   tejanaṃ;
矢作りは     矯正する   矢を
ダールン ナマヤンティ タッチャカー
Dāruṃ    namayanti   tacchakā,
木を     矯正する   大工は
アッターナン ダマヤンティ スッバター
attānaṃ     damayanti   subbatā.
自己を     調御する   善行者は

○詩のパーリ語について。100番からは正田大観先生を中心に行われました関西のダンマパダ輪読会の時の御自分のノートを参考にして、木岡治美様がわざわざ書き下ろしたものを私に送って下さいました。それを参考にさせて頂いております。

〇慈悲の瞑想

~私は幸せでありますように~
~私の悩み苦しみがなくなりますように~
~私の願いごとが叶えられますように~
~私に悟りの光が現れますように~
~私は幸せでありますように(三回)~

~私の親しい人々が幸せでありますように~
~私の親しい人々の悩み苦しみがなくなりますように~
~私の親しい人々の願いごとが叶えられますように~
~私の親しい人々にも悟りの光が現れますように~
~私の親しい人々が幸せでありますように(三回)~

~生きとし生けるものが幸せでありますように~
~生きとし生けるものの悩み苦しみがなくなりますように~
~生きとし生けるものの願いごとが叶えられますように~
~生きとし生けるものにも悟りの光が現れますように~
~生きとし生けるものが幸せでありますように(三回)~

~私の嫌いな人々も幸せでありますように~
~私の嫌いな人々の悩み苦しみがなくなりますように~
~私の嫌いな人々の願いごとが叶えられますように~
~私の嫌いな人々にも悟りの光が現れますように~

~私を嫌っている人々も幸せでありますように~
~私を嫌っている人々の悩み苦しみがなくなりますように~
~私を嫌っている人々の願いごとが叶えられますように~
~私を嫌っている人々にも悟りの光が現れますように~

~生きとし生けるものが幸せでありますように(三回)~


(この慈悲の瞑想を唱える人には必ず幸せが訪れます。)

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この記事へのコメント

2010年02月18日 04:00
ワンギーサさん、おはようございます。いつ読んでみてもとてもいいお話ですね。童心に戻れたようで大変励みになります。大切にしたい貴重なことだと思いました!有難うございます。
高橋優太
2010年02月18日 16:30
ワンギーサ先生、皆様、こんばんは。
自分もつまづきながらですが、頑張ります。
生きとし生けるものが幸せでありますように。
こころざし
2015年08月18日 07:28
私事ですが「生きていく上で何が大事なのか分かりません」と語る方に接した事があります。「心を成長させる事みたいですよ」と話しましたが、ピンとこない様子でした。
心を育てる大切さを理解し→成長出来るように努めたいです。そしてご縁を下さる方に機会があった時は、それを紹介させて頂きたいと思います。
たか坊
2017年01月11日 19:33
今回も明るく楽しく学べたコトを嬉しく思います♪

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