眠れない 夜は長くて 正法を 知らない愚者の 輪廻は続く(60)

阿羅漢であり、正自覚者であり、福運に満ちた世尊に、私は敬礼いたします。


ディガー  ジャーガラトー    ラッティ
Dīghā    jāgarato       ratti,
長い    眠らない人には    夜は

ディガン  サンタッサ    ヨージャナン
dīghaṃ   santassa      yojanaṃ;
長い    疲れた人には   一日歩く距離は

ディーゴー  バーラーナン   サンサーロー
Dīgho     bālānaṃ     saṃsāro,
長い     愚か者には    輪廻は

サッダンマン   アウィジャーナタン
saddhammaṃ   avijānataṃ.
正法を      知らない者には

○直訳
眠れない人には夜は長い
疲れた人には一日歩く距離は長い
正法を知らない愚か者には輪廻は長い。


○一口メモ
「第5 愚者の章」が始まるにあたり、「愚者」(=「愚か者」)という言葉について述べておきます。この言葉は非難している言葉ではありません。真理を知らない者という意味です。現状の事実を述べている言葉なのです。ですから、悟っていない凡夫は全て愚か者ということになります。

しかし、愚か者はそのまま肯定されるわけではありません。少なくとも自分の現状を自覚して、「自分は正しい」という無自覚な思い込みをなくすために、あえて少し耳に痛い、プライドを傷つけられるような愚か者という言葉を使うのです。

「眠れない人には夜は長い」
眠れない夜を過ごした方にはすぐ分かることだと思います。
悩み苦しみのために眠れないのです。長い苦しみが続くのです。夜はなかなか明けず、早く夜が明けてくれと思いますが、夜の長さを実感するのです。

「疲れた人には一日歩く距離は長い」
1ヨージャナは一日歩く距離、約12キロメートルと言われています。
疲れた人には1キロメートルでも長いと感じるでしょう。

「正法を知らない愚か者には輪廻は長い。」
これが、この詩の本題です。
「正法を知らない」とは「愚か者」の説明です。
正法とはブッダが説かれた正しい真理ですから、それを知らない人が愚か者です。
「輪廻は長い」とは、輪廻を何回も繰り返すということです。何回と言ってもその回数は無始の昔から、解脱するまでは、これからも無数に繰り返すことになりますから、その長さは想像もできない程なのです。輪廻の世界とは苦の世界ですから、苦が無限と言ってもよいくらいに続くのです。

最後に輪廻について説明しなければなりません。
ブッダの説かれている輪廻は、古典的な輪廻思想ではありません。つまり、我(変わらぬ魂)が生まれ変わるという輪廻ではありません。

心は、一刹那と言われ非常に短い時間に生滅していると言うのが、仏教の考え方です。ですから、瞬間、瞬間の心の変化を輪廻と言っていいのです。生命は心と身体でできています。心は絶えず変化しています。身体も絶えず変化しています。身体が壊れた時が死です。身体が新しくできた時が誕生です。心は絶えず生滅しながら、壊れた身体から、新しくできた身体に移るのです。その時、例えば、人間にいた心は、新しい神の身体に移るのです。(神の身体は人間が考える身体とは異なります。あえて言えば電磁波の身体に移ると言えるかもしれません。畜生に生まれ変わるのであれば分かりやすいと思います。そのようなことがあるかどうかわかりませんが、人間にいた心が身体が死んだ時、猫の母胎に宿るということです。)

このように、輪廻を繰り返すことは、苦しみを繰り返すことであると悟れば、輪廻から解脱することに挑戦するのです。これを知らない愚か者は生きることに執着して、輪廻を繰り返し、長い苦しみを続けるということです。

「眠れない 夜は長くて 正法を 知らない愚者の 輪廻は続く」


○この詩の解説は次の記事を参考にしてください。
http://76263383.at.webry.info/200902/article_9.html
http://76263383.at.webry.info/200912/article_13.html


○人生の万能薬(慈悲の瞑想)

私(私の親しい人々、生きとし生けるもの)は(が)幸せでありますように
私(私の親しい人々、生きとし生けるもの)の悩み苦しみがなくなりますように
私(私の親しい人々、生きとし生けるもの)の願いごことが叶えられますように
私(私の親しい人々、生きとし生けるもの)に(にも)悟りの光があらわれますように

私の嫌いな人々(私を嫌っている人々)も幸せでありますように
私の嫌いな人々(私を嫌っている人々)の悩み苦しみがなくなりますように
私の嫌いな人々(私を嫌っている人々)の願いごことが叶えられますように
私の嫌いな人々(私を嫌っている人々)にも悟りの光があらわれますように

*この言葉を毎日唱えると幸福になれます。

この記事へのコメント

カエルくん
2012年05月05日 05:58
おはようございます。
人付き合いに不器用だったり、競争が苦手だったり…。地獄とは死んでから行くところではなく、いまここのことではないだろうか、と思ってしまいます。
それでも仏教を知り、ずいぶんと楽になりました。
ありがたいことだと思います。

これ以上輪廻を繰り返さずに済みますように。精一杯精進しようと思います。
あすか
2012年05月05日 06:56
「愚か者」、耳の痛い言葉は、
心にとまる言葉というのは、
何か必要なのでしょうね。

愚かである、無知であると
気がついただけでも
一歩前進と前向きに捉えて
精進してまいります。
こころざし
2015年10月28日 07:48
教えて頂いた事を実践していないと、愚か者である意味では人間らしい生き方を毎日して→あっという間に寿命が終わり、そして輪廻転生を繰り返す状態になると間違いなく思えます。恐ろしく感じます。
教えて頂いた事を真摯に実践し、そして解脱に迎えるように精進したいです。