山火事や 網破る魚 のごとく 煩悩滅し 一人で歩く<62>

○少年少女のためのスッタニパータ62
・・・
賢い魚は
本能の網さえ破る。
心の中の山火事は
すべての煩悩
焼き尽くす。


62.第1 蛇の章 3.犀の角経 28

○毎田周一先生訳
魚が水中で網を破るやうに
火が既に焼いた処へ戻つて来ないやうに
色々の結び目を悉く切りすてて
犀の角のやうにただ一人歩いてゆかう


○中村元先生訳
水の中の魚が網を破るように、
また火がすでに焼いたところに戻ってこないように、
諸々の(煩悩の)結び目を破り去って、
犀の角のようにただ独り歩め。


○正田大観先生訳
水のなかの魚が網を破って〔解き放たれる〕ように
諸々の束縛を引き裂いて、
炎が焼け跡に引き返さないように〔束縛に戻らず〕、
犀の角のように、独り、歩むもの。


○パーリ語原文
サンダーライトゥワーナ   サンヨージャナーニ
Sandālayitvāna        saṃyojanāni,
断ち切って           結び目を

ジャーランワー   ベトゥワー   サリランブチャーリー
jālaṃva       bhetvā      salilambucārī;
網を ように    破って      水の中の魚が

アッギーワ    ダッダン    アニワッタマーノ
Aggīva       daḍḍhaṃ     anivattamāno,
火が ように   焼かれた所に   戻ってこない   

エーコー   チャレー   カッガウィサーナカッポー
Eko      care      khaggavisāṇakappo.
一人     行こう     犀の角のように


○一口メモ
この偈の由来は次の通りです。バーラーナシーという国に、「退かないブラフマ・ダッタ」という王がいました。彼はどのような戦闘でも退くことがなく、なすべきことは中止することなく、退かないのでこのような名前が付いたのです。あるとき、山火事が起こりました。彼はその山火事がすべてを焼き尽くし、焼いた処には決して戻らずに、進むのを見て、自分もいつの日かこのように、煩悩を焼き尽くし進もうと決心しました。またある時、漁師たちが「魚が網を破って逃げた」と叫ぶのを聞いて、自分もいつの日か煩悩の網を破って、執着ない者になって進もうと決心しました。後日、この王は王位を捨て出家して、観察に励んで辟支仏(独覚仏)の覚りを体得し、この感興の偈を述べたということです。

一昨日、昨日に述べてきたような欲望という煩悩をすべて断ち切ることは、「退かないブラフマ・ダッタ」という王のように、強い決意、決心がなければできないことなのです。今回に学んで、煩悩の網を破る魚のような、煩悩を焼き尽くす山火事のような決意を養成してください。

ちなみに、この偈で「結び目」と訳されたサンヨージャナは、仏教用語としては結あるいは十結と訳され、生命を輪廻の世界に結びつけている十の煩悩を意味します。その内容は次の通りです。

以下、次のブログ記事からの引用です。
不放逸を 楽しむ比丘は 放逸恐れ 大小煩悩 焼き尽くすべし(31)
http://76263383.at.webry.info/201204/article_7.html


1.有身見:「私」という概念が実体のあるものだと思い、肉体と心が自分のものだと誤解していること。
2.疑:仏法僧、因果法則、四正諦、八正道などを疑うこと。
3.戒禁取:無意味な苦行やあらゆる宗教儀式・儀礼。
4.愛欲:五欲に対する渇愛。
5.激怒:異常な怒り。
6.色貪:色界禅定に対する渇愛。
7.無色貪:無色界禅定に対する渇愛。
8.慢:自分を基準にして他者と比べる働き。驕り高ぶり。卑下。
9.掉挙(じょうこ):心が浮つき落ち着きがない。禅定を妨げるもの。
10.無明:すべての煩悩の大本。煩悩の親玉。

以上ですが、これらは十結とも言い、1から5までは五下分結、6から10までは五上分結といいます。

悟りの段階と十結の関係は次の通りです。
預流果:1、2,3、の煩悩がなくなります。
一来果:4から10の煩悩は残っていますが、預流果より薄まっています。
不還果:1から5の煩悩がなくなります。6から10の煩悩は残っています。
阿羅漢果:すべての煩悩がなくなります。


山火事や 網破る魚のごとく 煩悩滅し 一人で歩く<62>


○人生の万能薬(慈悲の瞑想)

私(私の親しい人々、生きとし生けるもの)は(が)幸せでありますように
私(私の親しい人々、生きとし生けるもの)の悩み苦しみがなくなりますように
私(私の親しい人々、生きとし生けるもの)の願いごことが叶えられますように
私(私の親しい人々、生きとし生けるもの)に(にも)悟りの光があらわれますように

私の嫌いな人々(私を嫌っている人々)も幸せでありますように
私の嫌いな人々(私を嫌っている人々)の悩み苦しみがなくなりますように
私の嫌いな人々(私を嫌っている人々)の願いごことが叶えられますように
私の嫌いな人々(私を嫌っている人々)にも悟りの光があらわれますように

*この言葉を毎日唱えると幸福になれます。


~~~~~~お知らせ~~~~~~

◎5月27日(月)から6月2日(日)まで、ワンギーサが熱海の瞑想合宿に参加するため、ゴータミー精舎における朝晩の自主瞑想会はお休みいたします。


◎ゴータミー精舎では毎日朝晩、自主瞑想会を行っています。朝5時から7時まで、および夜7時から9時まで。但し、木曜日夜7時から9時までの自主瞑想会は休みます。変更のある場合はこの「お知らせ」で、あらかじめ報告します。詳細はワンギーサの携帯番号090-2311-9317に御連絡下さい。


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この記事へのコメント

櫻井由紀
2013年06月01日 16:03
真理と言う豊饒の海を
悠然と泳ぐクジラになれたらいいですね。

昨日のkumetsuさんのコメントは
本当に分かりやすく
非常~に面白かったです!
これからもユニークなコメント
よろしくお願いします。
それと、kumetsuさんが仰るように
苦を放置せず、
煩悩軍団に挑戦してみます。
ありがとうございます。
こころざし
2016年03月05日 06:21
煩悩は次から次へと出てきて、切りがない印象も感じます。こちらで学ばなければ「あれこれ考えちゃって」程度で、それが煩悩とも気が付かないと思います。
それを焼き尽くすことは、真剣に修行すれば可能と思います。現在それに気が付いて、引っ張らないように実践中です。さらに深めて、煩悩を無くしてしまいたいです。