寒暖や 飢えや渇きを 堪え忍び 小欲知足 一人で歩く<再52>

○ワン爺さんの独り言<52>
・・・
花のいのちは
みじかくて
苦しきことのみ
多かりき
    (林芙実子)


52.第1 蛇の章 3.犀角経 18.

○毎田周一先生訳

寒さと暑さと飢えと渇きと
風と太陽の熱とあぶと蛇と
これらすべてのものに堪えて
犀の角のようにただ一人歩いていこう


○中村元先生訳
寒さと暑さと、飢えと渇えと、
風と太陽の熱と、虻と蛇と、
──これらすべてのものにうち勝って、
犀の角のようにただ独り歩め。


○正田大観先生訳
寒さと、暑さと、飢え、渇き、
諸々の暴風と猛暑、そして、諸々の虻と蛇――
これらの一切をもまた征服して、
犀の角のように、独り、歩むもの。


○パーリ語原文

シータン チャ    ウンハン チャ   クダン     ピパーサン
Sītañ ca      uṇhañ ca    khudaṃ     pipāsaṃ,
寒さ と      暑さ と    飢え      渇き

ワータータペー   ダムササリーサペー  チャ
vātātape       ḍaṃsasarīsape     ca;
風・熱        虻・蛇         と

サッバーニ ペーターニ      アビサンウィトゥワー
sabbāni p’etāni         abhisambhavitvā,
一切を    また・これらの   堪えて

エーコー   チャレー    カッガウィサーナカッポー
Eko       care      khaggavisāṇakappo.
一人で     行く       犀の角のように


○一口メモ
ブッダの最大の発見は、生きることは苦であり、その原因が欲望であることを洞察したことであります。さらに、苦の生滅した涅槃と涅槃に至る方法についても付けくわえなければなりません。昨日の51番の偈では欲望の6つの危険性を述べました。つまり欲望が苦しみを作りだしていることについて述べました。

しかし、同時に欲望は苦を避けるために現れるのです。寒ければ身体温めるものがほしくなるのです。身体を温めるセーターやオーバーやマフラーや手袋、さらに部屋を暖める暖房器具です。寒さだけでもいろいろなものが欲しくなります。暑ければ身体を冷やすもの。暑さを避けるものが欲しくなるのです。暑くても快適に過ごせる衣類や、今度は部屋を冷やす冷房器具です。寒くても暑くてもいろいろなものが欲しくなるのです。そうするとそれらを購入するために、苦しい思いをして働かなくてはなりません。しかし、働いてもお金が足りなければ、悩みが現れ、苦しまなければなりません。苦を避ける行うことで、苦を増やすことになるのです。この矛盾を明確に理解する必要があります。

この矛盾を解決する方法は、苦を避けるために、欲望を増やさなければよいのです。寒いときはセーターだけで満足して、オーバーや暖房器具を望まなければよいのです。暑い時は軽装にして、特別な衣類を望んだり、冷房器具を求めなければよいのです。すなわち、今あるもので満足して、特別なものを望まなければ苦は増えません。今の苦に堪えることができるならば、苦をなくすことができるのです。

以上、寒さと暑さについて調べてみましたが、飢えや渇きについても、虻や蛇についても同じようなことが言えます。今あるもので満足すること、小欲知足が苦をなくす、苦を避ける正しい方法なのです。小欲知足は、苦しみを無理して、我慢する苦しい方法のように、思われる方もおられると思いますが、上で説明したように、苦しみを避けるために欲望を増やすのでなく、苦しみを避けるために欲望を減らす方法ですから、非常に理性的で合理的な方法なのです。知恵ある人はそのことがよくわかりますから、正しい方法を淡々と行うのみです。苦しいことではありません。苦から離れる道なのです。そのことを理解できない人が多いですから、犀の角のように一人行くのです。

ワン爺さんの独り言に書いた「詩」は林芙美子作です。今の人はこの人を知らないかもしれませんが、興味のある方はネットで検索してみて下さい。


○前回のこの偈の解説

寒暖や 飢えや渇きを 堪え忍び 小欲知足 一人で歩く<52>
http://76263383.at.webry.info/201305/article_22.html


○人生の万能薬(慈悲の瞑想)

生きとし生けるものは幸せでありますように
生きとし生けるものの悩み苦しみがなくなりますように
生きとし生けるものの願いごことが叶えられますように
生きとし生けるものにも悟りの光があらわれますように

*この言葉を毎日唱えると幸福になれます。


~~~~~~お知らせ~~~~~~

◎3月18日(金)から3月22日(火)まで熱海に瞑想合宿があり、ワンギーサ比丘はそれに参加しますが、ゴータミー精舎における朝の自主瞑想会は代理人により通常通り開催します。しかし、この期間の夜の自主瞑想会は行いませんので、御注意お願いします。


◎ゴータミー精舎では、通常は毎日朝晩、自主瞑想会を行っています。朝5時から7時まで、および夜7時から9時まで。但し、木曜日夜7時から9時までの自主瞑想会は休みます。また変更のある場合はこの「お知らせ」で、あらかじめ報告します。詳細はワンギーサの携帯番号090-2311-9317に御連絡下さい。


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この記事へのコメント

kempsford
2016年03月04日 03:49
おはようございます。
この偈にある教えは厳しいものです。でも、それをどのように実践すればよいのか、についてのワンギーサ長老の説明は、実に明快です。「欲望は苦を避けるために現れる」→「苦を避けるために行うことで、苦を更に増やすことになる」→「苦を避けるために、欲望を増やさなければよい」→「小欲知足が苦をなくす、苦を避ける正しい方法なのです」。さあ、あとは実践あるのみです。精進します。ご指導ありがとうございました。
こころざし
2016年03月04日 07:18
おはようございます。
僕は恵まれていて、寒暖や飢えや渇きで欲が出る状況になっても今の環境ではそれを早期に満たす事が出来ます。そんな中でも築11年を超えた家は色々なものが壊れ始めています。完全に交換したもの、そのままのもの、自分で修理したもの等様々ですが、本当にこれは必要なのか考える機会になっています。
自分の欲を満たそうとするのではなく、欲を減らせるように、小欲知足が出来るように精進したいです。
ワンギーサ長老・皆様の今日も素晴らしい一日となりますように。
シンプルなネズミ
2016年03月04日 07:41
平和、安らぎという言葉もしっくりきません。取引的ないやらしさが潜んでしまうと思います。
我々には涅槃と苦しみしかないのでしょう。もちろんそれらにも価値はありません。
しかし我々にとって涅槃は無限の幸せです。そう判断せざるを得ないのです。
この世の法なるものとは、偶然か必然か、人間に答えを出させるようにできているのですね。

本当に修行の成果を来世にまで持ち越せるか、なんて分かるはずがありません。ただありがちなつまらないカタルシスをつまらないと認識するだけです。確かな道を歩きたくなるだけなのです。

幸せでありますように。
エル
2016年03月07日 08:33
インドやネパールでの暑さ・寒さ・蛇・虻は、さぞ強烈だろうと思いました。就職先が決まり、今引っ越しの準備等をしているのですが、快適さや費用面を徹底的に考えて時間を使っています。
 かつて東京で生活していた頃、「必要最低限」から暮らしをスタートさせたはずなのに、きらびやかなショーウィンドーに簡単に影響を受けていました。
 何が最低限か見極めることも重要で、私にはそれも難しいのですが、真理を明確に理解しておかなければ、あっという間に流されてしまうなと自戒しました。