感興のことば(ウダーナヴァルガ) 第20章 怒り 6偈

6 或る人にとって力は力であっても、怒ったならば、その力は力ではなくなる。怒って徳行の無い人には道の実践ということが無い。

(中村元訳「ブッダの真理のことば・感興のことば」岩波文庫より引用しました。)


*法津如来のコメント

「或る人にとって力は力であっても、怒ったならば、その力は力ではなくなる。」の意味はイソップ寓話「北風と太陽」の話を思い出せばわかります。そのあらすじは次の通りです。

「あるとき、北風と太陽が力比べをしようとしました。そこで、旅人の上着を脱がせることができるか、という勝負をすることにしました。まず、北風は力いっぱい吹いて上着を吹き飛ばそうとするのです。しかし寒さを嫌った旅人は上着をしっかり押さえてしまい、旅人の服を脱がせることができなません。これに対して太陽はやさしく暖かい光を旅人に投げかけました。すると旅人は暖かくなって、自分から上着を脱ぎました。これで、太陽の勝ちとなりました。」

この話でわかることは、力いっぱい無理に上着を脱がせようとしても効果がなく、やさしく相手の意思に任せて行った方が効果があるということです。

「怒ったならば、その力は力ではなくなる。」は、怒った人は相手の意思を考慮せずに自分の思いだけで行動しますから、その人の力は効果がないということです。

「怒って徳行の無い人には道の実践ということが無い。」は、徳行は相手があって成立するものです。怒っている人は相手の意思を考慮することがありませんから、徳行は実践できません。すなわち、道の実践がないということです。