#感興のことば(#ウダーナヴァルガ) 第30章 楽しみ 46偈

46 他人を傷つける人々のあいだにあって、われらは人を傷つけることなく、いとも楽しく生きて行こう。他人を傷つける人々のあいだにあって、われらはひとを傷つけること無く暮そう。

(中村元訳「ブッダの真理のことば・感興のことば」岩波文庫より引用しました。) 


*法津如来のコメント

この偈を読んで、ブッダのことば(スッタニパータ)の125偈を思い出しました。
「母・父・兄弟・姉妹或いは義母を打ち、またはことばで罵る人、──かれを賤しい人であると知れ。」(中村元訳)
この偈の解説を2016年5月11日に書きました。
https://76263383.at.webry.info/201605/article_11.html

(以下引用)
今回の偈は、今日の言葉で言えば「家庭内暴力」の問題です。2600年前もあったのですね。心の問題は今も昔も変わらないということであると思います。

この問題を高橋徳著「人は愛することで健康になれる(副題:愛のホルモン オキシトシン)」(知道出版)を参考に述べたいと思います。

この本の序文に次のように述べられています。
「オキシトシンは哺乳類動物の神経ホルモンの一つです。主に脳内の視床下部で生成され血液循環系に送り出されます。その働きは、私たちの『情緒』『認識』『対人関係における反応や行動』のバランスを保ち、私たちが健康に暮らしていけるようにしていることです。
(中略)
愛情溢れる育て方をされると、母子相互の間のしっかりした絆の環(ループ)が形成されます。愛情を惜しみなく受けて育った幼児は、体内に高性能のオキシトシン発現システムを持つようなります。成人した後には子育てに積極的であり、良好な人間関係を築くことができるようになります。
(以下略)」このキシトシンは「利他的なペプチドホルモン」と呼ばれています。

一方、同じ下垂体ホルモンであり、オキシトシンと同じ9個のアミノ酸で構成されていて、そのうちの2個だけが異なるバソプレシンの活動は、個体の安定・維持(体内水分・血圧調整・記憶や興奮の強化)に向けられています。バソプレシンは、恐怖、不安、攻撃性に関与しており「利己的なペプチドホルモン」と呼ばれています。幼児期のストレス体験はバソプレシンの過剰分泌とオキシトシンの分泌の抑制する事実が分かっています。

という訳で、家庭内暴力を振るう人間は、一概には言えませんが、幼児期の適切な愛情を持って育てられない可能性があります。仏教ではこのような問題は本人の業の問題だと考えています。

しかし、仏教はこの問題を解決できないとあきらめるわけではありません。例えば慈悲の実践なので、脳内のオキシトシンを増加させることができると研究されています。本人の意思次第で、脳内オキシトシンを増加させ、慈悲の心を育てることができるのです。それは家庭内暴力の問題の解決の手掛かりになると思います。また育児のあり方の改善で、家庭内暴力を減少させることができるようになると思います。

上記のこの本「人は愛することで健康になれる」は、人々は思いやり気持ちを持つことによって、オキシトシンを増加させ、健康を増進することのみならず、平和な幸福な社会をつくることができると述べており、非常に参考になる本です。皆さまも是非お読みになることを薦めます。
(以上引用)

人は、やさしい気持ちになると脳内オキシトシンが増加するのですが、逆に脳内オキシトシンが増加すると、やさしい気持ちになるのです。

例えば、お母さんが赤ちゃんを抱っこすると、赤ちゃんにもお母さんにも脳内オキシトシンが増えるのです。日本人にはあまりその習慣はないのですが、親しい人どうしで、あるいはあまり親しくない人とも、もっとハグをしたよいのではないでしょうか。ハグの勧めです。