石法如来の特別寄稿「歴史の闇・・・廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)(その1)」

日本の長い歴史の流れの中において、仏教がその存亡の危機に陥った事実をご存知でしょうか?・・・その事実は、現在ほとんど歴史の闇に葬り去られている感がありますが、今回は「廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)」について書いてみたいと存じます。
 
まず、廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)とは何かと申しますと、「仏教寺院・仏像・経巻(経文の巻物)を破毀(破棄)し、仏教を廃することを指す。「廃仏」は仏を廃(破壊)し、「毀釈」は、釈迦(釈尊)の教えを壊(毀)すという意味。」(フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』から引用)とあります。
 
今回、この記事を書くことになった因縁は、先に富永仲基(とみながなかもと)の記事を書いたことです。その記事の中で、「富永仲基の名前を、後世に残す決定打となったのはやはり「大乗非仏説論」の先駆者として存在した」という文章があります。
 
大乗非仏説論と言うのは、国学者の平田篤胤(ひらたあつたね)の「出定笑語」などに大乗非仏説が発表され、国学者や神道学者によって仏教攻撃の大きな原動力となった学説です。                                                                                                          
平田篤胤は、安永5年(1776年)生まれ江戸時代後期の国学者です。富永仲基は、正徳五年(1715年)に生まれ、延享三年(1746年)に逝去しています 。
                            
そう考えると、平田篤胤(あつたね)が「出定笑語(しゅつじょうしょうご)を文化8年(1811年)に著し大乗非仏説を唱え、仏教を攻撃したのは仲基逝去後65年以上経過してからと推定出来ます。               
                                                                                       
平田篤胤は、富永仲基の『出定後語』の理論を借用し『出定笑語』を著しましたが、文章が平易通俗的であったこともあり、幕末以前(1820~1840年代)の多くの人に読まれ、明治維新に至る王政復古運動・更には廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)の思想原理になったと言われます。
         
富永仲基がまいた種が、その後に国学者達の仏教批判を助け、近代における大乗非仏説論争の源流となったと言うことです。彼(富永仲基)の研究や著作が、間接的に大乗非仏説論・王政復古運動・廃仏毀釈に繋がったようですが、私自身以前に『仏教抹殺』という著書を読んでおり、その問題に興味を持っていたので今回記事として取り上げた次第です。
 
廃仏毀釈とは、その言葉の意味が示すように「仏教の存在を根底から叩きつぶす」イメージを持ちますが、実際それがどの様に行われてきたかを見てみます。
廃仏毀釈の最初の徴候は、江戸時代末期に既に表れていたのですが、本格的に行われたのは明治維新後のことです。
 
日本人にとって、明治維新とは徳川幕府(幕藩体制)を終わらせ、アジアの中でいち早く西洋に比して劣らぬ文明を目指す時代を到来(文明開化)させたと、美談ばかりが先行しがちですが実際のところはどうだったのでしょう。
一つの時代が終わると言うことは、決して綺麗事だけでは済まされるものでは無いという事実がここに存在します。それは、廃仏毀釈が行われたと言う事実だけを見ても明らかです。
 
現代日本の状況を見渡してみると、仏教と神道は互いに衝突をすることもなく、それぞれの分野においてきちんと住み分けし、平穏に物事が過ぎているように見えます。知らない人が聞いたら、「まさか、その様なことがあったとは信じられない」という感想を持つことでしょう。
ある意味、忌まわしい出来事は歴史の闇に消え去り、全て無かったことにされていますが事実は違います。
 
日本の宗教活動は、世界の宗教史の中でも特殊な形態を辿って来ました。中世以降江戸時代まで、神道と仏教は適度にまざり合い(混淆(こんこう)宗教)、寺と神社が同じ境内地に共存するのも当たり前といった状態でした。この様に、日本では実におおらかな宗教風土が長い年月維持されて来たのです。
 
しかし、明治維新を終える頃、日本の宗教は大きな節目を迎えることとなります。・・・明治新政府は、国民を統治するために強力な精神的支柱が必要と考え手段を講じました。
そもそも明治維新とは、「王政復古」のかけ声のもと大きな倒幕の力を得てきた経緯があります。それに関連し、純然たる神道国家(天皇を中心とする国家)を目指すことになるのです。


*法津如来のコメント

石法如来から新たなテーマで特別寄稿を頂きました。

テーマは「歴史の闇・・・廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)」です。

4回の連載になる予定だそうです。


この記事へのコメント

才木広之
2021年04月15日 21:17
読みごたえがある。

生きとし生けるものが幸せでありますように。